Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

レイモン・サヴィニャック

写真やCGなどのデジタル技術が今ほど発達していなかった時代、広告業界においては、イラストを描き商業ポスターを制作するデザイナーたちが活躍していた。その1人がレイモン・サヴィニャック

彼は1907年パリ生まれ。シンプルな機能美とユーモラスな筆致が特徴のサヴィニャックの数々の商業ポスターは今日のフランス文化の一部をなしている。

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独学でデザインを学んだサヴィニャックだが、彼が師事した1人の人物の影響が大きい。その人物は、ウクライナのハリコフでフランス人両親のもとに生まれたアドルフ・ムーロン・カッサンドル。印象主義の絵画を学んでいたが、ごく早い段階でドイツ・ヴァイマルに設立された工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育機関である「バウハウス」の合理主義的・機能主義的に興味をもち、徐々にその影響を受けていった。

彼は1922年に最初の広告の仕事を世に送り、このとき作家名として「カッサンドル」と署名した。当初、カッサンドルはこの職は画家として身を立てるまでの食い扶持のために過ぎないと考えており、「絵画はそれ自身で目的になるが、ポスターは売り手と公衆の単なるコミュニケーション手段にすぎない」と、はっきり認めていた。言うなれば、この明瞭で読み取りやすいメッセージへの指向こそが、後に彼のヴィジュアル・コンセプトに建築的・幾何学的構成を導くこととなったものであるといえる。カッサンドルはパブリシティのためのグラフィックデザインに習熟するに連れ、徐々にこれに熱中。これを「(芸術画家が)失った公衆との回路を再発見する」手立てであると考えるようになった。

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