Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

天のしずく

去年の11月に公開された1本のドキュメンタリー映画が、20代~30代の女性を中心に多くの共感を呼び、ヒットを続けている。その作品は、作家にして料理家である辰巳芳子の「食」を構想に4年、撮影に1年半をかけて追いかけたドキュメンタリー映画「天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”」である。

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脳梗塞で倒れ、嚥下障害により食べる楽しみを奪われた父。その最後の日々を、母と娘が工夫した様々なスープが支えた。それが「天のしずく(いのちのスープ)」の原点だった。日本の食に提言を続ける料理家・辰巳芳子が病床の父のために工夫を凝らして作り続けたスープは、やがて人々を癒す「いのちのスープ」と呼ばれるようになり多くの人々が深い関心を寄せた。その一滴には、口にした幼児から老いた人たちまで、生きる喜びと、与えられた命を輝かせる奇跡が溶け込んでいた。

「いのち」の始まりに母乳があり、終わりには唇をしめらす「末期の水」があるように、人の命は絶えることのない水の流れに寄り添って健やかに流れる。映画で描かれる、辰巳芳子のスープにも長い物語がある。調理以前は、海・田畑など日本の風土が生み出す生産の現場、調理後にはスープを口にする家庭や施設、病院など多様な人の絆が見えてくる。

旬の作物を育てる繊細で美しい自然風土。スープを作り出す食材を作り出す全国の生産者が作物への誠実な志を持ち、辰巳さんに食材を提供する。そして、それぞれの素材が性質を生かし、喜ぶように丁寧に調理する辰巳芳子。幼児から老人まで、スープを口にする人々の姿。それぞれが交響曲のように、「いのち」の響きを奏でていく。この作品で描かれるスープの物語は、辰巳芳子が唱える、食を通して見えてくる「いのちと愛」への道筋を示してくれる。

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この丹念に作られたスープを軸とした出会いや活動、そして、辰巳芳子の台所仕事を収めたドキュメンタリー作品は、日本の食卓と自然を優しく美しい映像で描き上げられている。料理家である辰巳芳子の生き方と言葉には、日本人が忘れてしまった当たり前の暮らしの中にあった小さな幸福感を感じさせると、全国各地で感動を呼んだ。

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