Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

ゼロ・グラビティ/Gravity

いろんな意味で凄い映画が公開された。何年かに1度は誰もが認めざるを得ない印象的で革新的な映画が現れるものだ。近年では、ヒーロー映画の概念をぶち壊した傑作「ダークナイト」が思い出されるが、3D映画革命の発端となった「アバター」もまたそんな映画の1つである。

そして、2013年12月、新たなる伝説とも言える作品が登場、この作品は誰もが大きな劇場で鑑賞し、後世に語り継がねばならない。それが「ゼロ・グラビティ」だ。

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宇宙空間に放り出されてしまった宇宙飛行士の生還劇をテーマに扱った作品は、考えただけでも息苦しくなるようなシチュエーション。第70回ベネチア国際映画祭のオープニング上映、続く第38回トロント国際映画祭での特別上映で、世界各国から集まった多くのメディアと批評家たちから称賛を浴び、実際に宇宙で撮影されたかのようなリアリティ溢れる史上最高の映像体験に世界中が熱狂。

ただ、この作品はハリウッドでヒットする法則やすべてのルールを破っている点がユニーク。まず、登場人物が2名しかいない(厳密には数名いるのだが…)。それに彼らが40代から50代であるということ。また、1時間くらいは画面に1人しか登場しない。それに、一応アクション映画の部類なのに女性が主人公で、ほとんど彼女の顔はバイザーの奥になっていて顔がはっきりと見えないし、マイクを通した声は圧迫されたものになっている。不気味なエイリアンだって登場しない。

そして、恋愛が描かれるわけでも、親子の葛藤が描かれているわけでもない。政治の駆け引きや銃撃戦も登場しなければ、アメリカンドリームも描かれてない。つまり、絶対にヒットするという要素がこの作品にはことごとく欠落している。

描かれているのは、宇宙空間という絶望的状況におかれた主人公が、折れかかっている心を奮い立たせ、「必ず地球に生還する」と決意し、困難に立ち向かっていく勇気や尊さである。

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