Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

スヌーピーと日本の匠

漫画「ピーナッツ(Peanuts)」は、掲載された雑誌2000誌を越え、世界75カ国・21言語で3億5500万人以上の読者を持ち、コミックの総発行部数は3億部を越える人気作品。チャーリー・ブラウンと飼い犬のスヌーピーを中心としたキャラクター達が、かわいらしい外見に似合わないシュールな人生観を展開するギャグ漫画である。そして、50年以上にわたり世界中の人々に愛され続けているスヌーピーと主人公のチャーリー・ブラウンは共に日本でも人気者だ。

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ちなみに、タイトルの「ピーナッツ」に関して、「ピーナッツでも食べながら、気軽に読める漫画」にしたいという作者の願いが込められていたという説があるが、作者のチャールズ・M・シュルツ氏本人は、これを否定し、タイトルはエージェントであるユナイテッド・メディアがシュルツ氏に相談せず、勝手に決めたことを明らかにしている。英語で「peanuts」とは、「つまらないもの、取るに足らないもの」といった意味があり、シュルツ氏はこれを踏まえて「だから、私はこのタイトルに決まった時は不満だった」と語っている。

数多くの賞を獲得し、また、キャラクター商品は到底数え切れないほど発売されている。1969年には、チャーリー・ブラウンスヌーピーの名前がアポロ10号の指令船と月着陸船の名前に採用されている。そして、1983年にテーマパークとしては初めて、南カリフォルニアのナッツベリーファームがライセンス契約を結び、ピーナッツのキャラクターをメインに据えたアトラクションを設けた。

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作者のシュルツ氏は、1950年10月2日のメジャーデビュー以来、約50年近く「ピーナッツ」を描き続け、1997年に75歳の誕生日プレゼントとして3ヶ月の休暇を取った以外、2000年に亡くなる直前の1999年12月に断筆宣言をするまで、休まずに、17897日分のコミックを描き続けた。なお、資料収集からセリフの書き込みに至るすべての作業を、アシスタントをつけることもなくたった1人で行ってきた。

人気キャラクターのスヌーピーが、初めて日本の匠たちとコラボレーションする展覧会が、4月17日より松屋銀座にて開催される。この展覧会の仕掛け人は、シュルツ氏が「天才」と称賛した日本人アーティスト大谷芳照氏。大谷氏は三重県鈴鹿市出身の画家であり、「ピーナッツ」を水墨画で表現した作品で知られている。

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1993年当時、スヌーピータウンのプロジェクトに携わっていた大谷さんと知り合ったシュルツ氏は大谷さんのアート作品に心惹かれ、「YOSHI」と呼び、二人は強い絆で結ばれてきた。その後も、大谷氏はカリフォルニア州サンタローザにあるシュルツ・ミュージアムの建設プロジェクトにも象徴的な作品をおさめるなど、「ピーナッツ」に深くかかわっている。

今回の展覧会の開催にあたり、大谷氏は日本各地の漆器やガラス切子、友禅、陶器、真珠など伝統的工芸作家40人に声を掛け、コラボレーションが実現。そして、新しい日本のスヌーピーたちが多数登場する。九谷焼、輪島塗や金箔砂子など、1年以上の歳月をかけて誕生した日本の匠たちによる作品40点に加え、大谷氏による漢字にスヌーピーをあしらった墨絵アートや切り絵など、日本初公開の作品を含め100点以上が展示される。

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また、「ピーナッツ」主人公のチャーリー・ブラウンスヌーピーが描かれた五彩織バスタオル、「友」の字をあしらったマグカップやのれんなど約200点の限定・先行グッズを含む、約1000アイテムのスヌーピーグッズが会場で販売されることになっている。

日本の技と美に出会った新しいスヌーピーを堪能できる展覧会である。

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