大脱出/Escape Plan
犯罪率の高いアメリカでは、成人の100人に1人に当たる230万人が刑務所や拘置所に収監されているという。そのため刑務所はいつも定員オーバーの状態。囚人の人権もあるため収容所の質も上げなくてはならなく、政府はコスト削減のために民間企業による刑務所経営を認めている。刑務所ビジネスに手を出す民間企業は入居率の悪いマンションを刑務所にして急成長する。
刑務所・監獄もの、脱獄もの、囚人もの…、多少テイストは違うかも知れないが、このジャンルの映画は映画草創期から製作され続け、人気カテゴリーに属することは間違いない。閉ざされた空間を舞台にすることで濃いドラマが生まれ、クセ者揃いのキャラクターを配置してメリハリがつけやすい。そして、概ね無実の主人公がさまざまな困難の末に脱獄を成し遂げ自由を手にするカタルシスがたまらなく爽快。
監獄が抑圧された社会を象徴し、人種・思想で差別されることなく犯罪者であれば平等に蹂躙されるがゆえに偏見を超えた紐帯が生まれやすい側面もあり、その状況下で生まれる友情や自由を獲得するための戦い、連帯感が現実と違って自然に描かれる。いたいけな主人公たちが一致団結、理不尽な支配や虐待に立ち向かう構図は観客たちの溜飲を下げる。
しかし、刑務所もの、脱獄ものバリエーションのアイデアが出尽くした感のある現在では、何となく時代遅れと思われても仕方ない題材である。そんな、ある意味王道ではあるが古色蒼然とした刑務所脱獄ムービーに、シルベスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーの二大スターがガッツリ取り組んだ「大脱出」。
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