Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

シャネル No.5

記者の「夜は何を着て寝るのか?」との質問に「シャネルの5番よ」と答えたマリリン・モンローのエピソードは有名なお話。

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「シャネル」を代表する香水「No.5」は、ココ・シャネルが発表した初の香水で、ロシア宮廷で働いていた調香師のエルネスト・ボーとの協働によって誕生し、1921年5月5日に発売された。ちなみに、「No.5」は試作品番号をそのまま香水の名前としたという。当時、単一の花を模した香りが主流であった時代であったが、80種類もの香料と脂肪族アルデヒドを大胆に使用し、初めての「抽象的な」香調として話題となった。

また、スクエアなエッジのボトル、黒で縁取られた白いグログラン製のパッケージなど、ビジュアルにも厳格なミニマリズムを追求し、「No.5」はブランドを象徴する香水となる。

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その「No.5」を紐解く「ナンバーファイブ・カルチャーシャネル展」が、パリの現代美術館「パレ・ド・トーキョー」のゲストプログラムとして5月5日から6月5日まで開催される。

「パレ・ド・トーキョー」は、フランス、セーヌ川右岸のパリ16区にある美術館。2002年1月開館。現代美術、コンテンポラリー・アートが中心であり、絵画・彫刻・インスタレーション・デザイン・ファッション・ビデオアート・映画・文学・コンテンポラリー・ダンスなどの展示・上演が行われている。セーヌ川に面した建物全体も「パレ・ド・トーキョー」と呼ばれる。市が所有する東翼には1961年開館のパリ市立近代美術館が入居し、現代美術の展覧会を企画するギャラリー「パレ・ド・トーキョー/現代創造サイト」は、国が所有する西翼に入居する。

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ちなみに、セーヌ川沿いのドゥビリ河岸は1918年に第一次世界大戦の同盟国であった日本の首都にちなみ「東京通り」と改名されたが、これに面して立つことから「パレ・ド・トーキョー」と呼ばれるようになった。なお、「東京通り」はパリ解放後の1945年2月26日に、第二次世界大戦の敵国となった日本にちなんだ名称から友邦アメリカ合衆国にちなんだ「ニューヨーク通り」に改名されたが、建物の通称はそのまま残った。

シャネルと芸術との永続的なつながりに焦点を当て、「No.5」の本質を明らかにすることで企図された展覧会は、様々な一致を楽しむ緻密なゲームのように構成され、「No.5」という香りを解読する。展示物同士を関連付け、「No.5」を、その生まれた時代や、当時隆盛を極めたアバンギャルドムーブメントと結び付けていく。

モスクワのプーシキン美術館や北京の中国美術館、広州オペラハウスにて行われた「カルチャーシャネル(CULTURE CHANEL)展」に引き続き、キュレーターはジャン=ルイ・フロマンが担当する。

余談ながら、去年、「シャネルNo.5」の広告塔に男性として初めて俳優のブラッド・ピットが起用され話題になった。公開されているビデオクリップでは、ブラピはモノクロの広告映像内で映画のワンシーンのようなモノローグを展開する。時にカメラに視線を向け、時にそらしながら、淡々と語られるメッセージはまるで一編の詩のようである。そして、モノローグの後、宇宙を思わせる映像を背景に「No.5」のボトルが現れ、ブラピが「避けられない」と一言、最後のセリフを言い放つ。

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実にカッコいい。

※動画はこちらでご覧ください。