阪急西宮ガーデンズ

以前からお気に入りのショッピングセンターがあり、時々ウインドウショッピングを楽しんでいる。何となくゆったりとした感覚がオトナの雰囲気を醸し出す、阪急西宮にある「阪急西宮ガーデンズ」である。

先日、日本ショッピングセンター協会が、ショッピングセンターの最高峰を決める「第五回SC大賞・第三回地域貢献大賞」を発表し、金賞に「阪急西宮ガーデンズ」が選出された。ちなみに、銀賞は「ルミネエスト新宿店」が受賞。また、地域貢献大賞には、震災後の取り組みが評価され、宮城県石巻市の「イオンモール石巻」が選ばれた。

「阪急西宮ガーデンズ」は、阪急西宮スタジアム跡地にあり、2008年11月26日にグランドオープンしたショッピングセンターで、オープン時は西日本最大級で国内でも3番目の広さを誇った。

核テナントは、阪急百貨店とイズミヤ。そして、12スクリーンあるシネコンの「TOHOシネマズ西宮OS」で構成されている。ちなみに、西宮市は人口40万人を超える阪神間の中核市であるにもかかわらず、今津駅近くにあった小規模映画館「今津文化」が阪神淡路大震災後に閉館し、その後13年間映画館が1つもない状態が続いた。「TOHOシネマズ西宮OS」は、西宮市にとって久々の映画館であり、また、大規模映画館のシネマコンプレックスとしては同市初。また、「阪急西宮ガーデンズ」が開業するまで、西宮市は吹田市と並び、人口40万人以上で映画館の無い町であった。

阪急百貨店とイズミヤが専門店街を挟む形で配置され、屋上には庭園がある。駐車場は約3000台分が設置されているが、延べ床面積の割には駐車台数が少ない。しかし、阪急電車の西宮北口駅から動く歩道が設置されされた歩行者デッキで直結しており、買い物客にはひじょうに便利なロケーションだ。

ブランド品を身につけた高級志向のセレブが多い西宮や芦屋を商圏とするため、従来のショッピングセンターに出店したことがない店や高級住宅地にしか出店しないセレクトショップなどが出店し、他のショッピングセンターと比べると専門店街もやや価格が高めの店舗も多い高級志向のショッピングセンターと言える。

また、「ペット保有率が高い」地域性を踏まえて、ペット用のホテルや病院などを備えた「阪急ハロードック」が設置されているのもユニーク。そして、阪急西宮スタジアム跡地に建設されたこともあり、「阪急西宮ギャラリー」や、屋上のスカイガーデンには西宮球場のホームベースなど、敷地内には阪急ブレーブスや阪急電鉄に関する数々のアイテムが展示されている。

余談ながら、開業初日に約10.8万人、最初の週末2日間で約30万人を集客し、駅からの動く歩道が混雑の為に停止するというハプニングもあった。そして、初年度約1780万人から2年目に約1784万人へ来店客数を伸ばすなど高い集客力を誇り、「阪急西宮ガーデンズ」の最寄り駅の西宮北口駅が2008年12月に、1日平均約11.4万人へ増加して三宮駅の1日平均約10.8万人を上回り、阪急の駅の中では梅田駅に次いで第2位の乗降客数となるなど、阪急電車の利用者数増加にも一役買った。

今回、「第五回SC大賞」の金賞に輝いた「阪急西宮ガーデンズ」は、「阪急沿らしさ、西宮らしさ」というコンセプト軸をぶらさない運営姿勢を続けたことが高く評価された。そして、屋上を活かし、文化度の高いイベントを年間200回以上開催する事で利用満足度の高い情報発信の拠点としている点や、開業以来4年間売り上げや来店客数を着実に伸ばしているというところが大きな受賞ポイントにつながったようだ。

地域住民とのコミュニケーションづくりが評価された地域貢献大賞の「イオンモール石巻」は、東日本大震災後15日間において最大2500名の避難住民を受け入れた実績が評価された。食糧をはじめ、生活必需品の確保とライフラインを提供した事で商業施設の役割を大きく越えたという。

日本ショッピングセンター協会は、社会貢献につながる取り組みに対して「日本SC大賞」、地域とより結びついた考え方を実践に対して「地域貢献大賞（倉橋良雄賞）」の表彰を2003年度より行っている。故・倉橋良雄氏は、日本のショッピングセンター業界の発展に尽力した先駆者。第一回の大賞に輝いた「玉川高島屋ショッピングセンター」をはじめ、地域に密着した商業施設の機能が重視されている。

今から久し振りに金賞獲得の「阪急西宮ガーデンズ」に、ウインドウショッピングに出掛けてみようかな…。