Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

クラウディオ・ コルッチ

ハッとするような色彩感覚とダイナミックな曲線美、大胆な素材遣いによる独創性の高いデザインに定評があるデザイナーのクラウディオ・ コルッチ。

彼は、1965年にスイス・ロカルノに生まれたスイス人とイタリア人のハーフ。幼少期を大自然に囲まれたスイス・アルプス地方と南イタリアで過ごす。ジュネーブのデコラティブ・アート校のグラフィッ ク・デザイン科を卒業後は、パリの「ENSCI-les Atelier校」にて工業デザイン、その後、交換留学生としてロンドンの「キングストン工業短大」でデザインを学んだ。

f:id:pleasegoodtimes:20130220153516j:plain

その後、ジュネーブやパリ、ロンドン、東京など、世界各国を舞台に「HERMESエルメス)」や「IDEE(イデー)」「agnes b.アニエスベー)」「GODIVA(ゴディバ)」など様々な企業やブランドと協業。そして、1996年からは東京をベースに活動を開始し、1998年に「クラウディオ・コルッチ・デザイン」を設立し、プロダクトやインテリアはじめとする作品を発表している。

商業空間、ディスプレイ、プロダクトデザイン、インスタレーション、アートなど多岐に渡り手掛け、ダイナミックな曲線と独特の色彩感覚、豊かな素材使いが織り成すユーモア溢れるデザインスタイルの上質な空間づくりには定評がある。

そんなクラウディオ・ コルッチの展覧会「COLOURISTIC!」が、3月5日より代官山のヒルサイドフォーラム&ギャラリーで開催される。コルッチにとって、「色」は人の「感情、意志」を表すものでもあり、「生きること・暮らすこと」にリンクする。豊かに「生きること」は、すなわち人各々が「色をもつこと」「あらゆる色とまず向き合うこと」と考えるコルッチ。色彩と光、水が織り成す幻想的なインスタレーションとカラフルで斬新なオリジナル家具作品を集めた展示を通し、これからの日本の衣食住環境に向けて、「色」「素材」「デザイン」の可能性を発信する。

f:id:pleasegoodtimes:20130220153544j:plain

パリ、上海に続いて開かれる「COLOURISTIC!」は、15年以上にわたり東京をベースに活動するクラウディオ・ コルッチの国内過去最大規模の展覧会。185平方メートルの空間に、「もっと自分を表現しながら、これからを生き抜いてほしい…楽しく暮らしてほしい」というデザイナーから日本の人々に向けた「色」をテーマとする作品が多数展示される。

スイス・アルプス地方と南イタリアで幼少期を過ごしたことが、コルッチの豊かな色彩や光の感覚を育み、世界各国を舞台を縦横無尽に行き来しながらデザイン活動を続け、それぞれの土地で吸収し体感したものが混ざり合い、化学反応を繰り返してきた彼のクリエイティブスピリッツの世界観が展覧会場に満ち溢れる。

また、自身の事務所「CLAUDIO COLUCCI DESIGN」の設立15周年を記念し出版されたデザイン作品集「Kaleidoscope(万華鏡)」も今回の展覧会で販売される。コルッチが20年に渡り世界の様々な土地と文化に触れながら、多角的な視点を通して手がけた数々の作品が盛り込まれ、マルチカルチャーに生きるコルッチの「これからも世界を様々な視点で捉えながら、ユニークなデザインを生み出したい」という思いが詰まった一冊となっている。

f:id:pleasegoodtimes:20130220153607j:plain

なお、会期中には「イデー」常務取締役の川渕恵理子やアートプロデューサー・ライターの住吉智恵など、デザイナーと親交のあるゲストを招いたトークショーも実施される予定。

生活の中のデザインとは、人々を取り巻く環境が日々変化しても生活の中に欠かすことのできない道具達である。つまり、デザインには共に寄り添い、時に受け入れてくれる、そんなユーモアやウィットが必要であり、そして、コルッチはそんなデザインを実践する。卓越した「巧」で、解放されたデザインがモノや空間に充満し、コンビネーションの美しさが際立つ彼の感性。

HOTEL LUMEN(ホテル ルーメン)2007/Louvre Saint Honore(フランス)
f:id:pleasegoodtimes:20130220153643j:plain

f:id:pleasegoodtimes:20130220153802j:plain

パリの中心部に位置する新しいデザイナーズホテルの内装デザイン。バロック様式を再考し、現代性と古典様式を大胆に融合させた。「光」(ホテル名「ルーメン」はラテン語で光の意) をコンセプトの中核として、シャンデリアは明るい空の雲をイメージ。壁はクリスタルに乱反射した光のきらめきで溢れ、艶やかな大理石の床は、パリの雨に濡れて光る石畳を表現している。唯一の色として、「太陽の恵み」を象徴する赤色をショップカウンターやエントランスホールに用い、空間にアクセントを与えている。パリの街の温かな雰囲気と遊び心が溢れる、コルッチ風ネオ・クラシック空間に仕上がっている。

ICE LOUNGE & ICE CREAM BOX 2008/MOVENPICK(スイス)
f:id:pleasegoodtimes:20130220153839j:plain

f:id:pleasegoodtimes:20130220153911j:plain

モーヴェンピックのアイスクリームの素晴らしさを体感するためのラウンジとキット。ラウンジは、アイスクリームをスプーンですくった時の滑らかさや軽やかさの象徴として空中浮遊する渦をデザイン。陶器のカップは、商品のアイスクリームをカップごと包み込んで隠し、テイスティングに新しい作法を与えている。同時に、陶器の保冷効果により、アイスクリームをより冷たいまま味わうことができる。スプーンは、まっすぐな形状で、通常のスプーンとは違った食べ方ができる。アイスクリームを「切る」という方法によって、「モーヴェンピックアイスクリーム」が持つ香りを閉じ込めるための繊細なテクスチャーを保ちながら味わえることで、より一層美味しさが広がる。

BOUTIQUE CAREL 2011/CAREL(フランス)
f:id:pleasegoodtimes:20130220153936j:plain

パリの老舗靴店のリノベーション。洗練されすぎていない、パリのアパートメントのようなアットホームな店舗づくりを目指した。白壁と淡い木床の空間にカラフルな色が映える。壁面の大小さまざまなニッチは、中の色が自由に変えられ、季節や商品のラインナップに合わせて楽しく演出できる。コーリアン(人工大理石)を用いてデザインしたペンダント照明とチェアー、コーヒーテーブルが店内のアクセントとなっている。

SQUEEZE & OENOLOGY SQUEEZE 2011/CHRISTOFLE
f:id:pleasegoodtimes:20130220154009j:plain

f:id:pleasegoodtimes:20130220154024j:plain

フランスの銀製品の老舗ブランド「クリストフル」よりモダンなデザインを発表。美しいカーブと持ち易いバランスを追求したカトラリーシリーズ「スクイーズ」。ステンレス素材で、手にした際に重すぎず軽すぎず、普段使いに使い易いよう工夫されている。

「エノロジースクイーズ」は、クリストフルシルバー素材で揃えたワイン周りのアイテム。中でも、シンプルな形状と柔らかなカーブのワインサーバーは、ひときわ美しいフォルムで、ワインボトルを入れてない時でも、インテリアの一部となってくれる。

MUTANT Series 2012/Perimeter Art & Design(フランス)
f:id:pleasegoodtimes:20130220154110j:plain

アンティークのチェア、テーブルをリメイクしたアート家具シリーズ。作品名の「Mutant(ミュータント)」とは、突然変異の意。テーブルは、パリの街中のカフェやテラスのテーブルに最も一般的に古くから使われている脚に、日本のマンガにインスパイアされてデザインしたバルーン型のトップ。