Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

富岡鉄斎

「彼のの芸術はセザンヌのように構成的で、ユーゴーのようにロマンティックだ。」「彼はゴヤセザンヌとともに19世紀の世界3大作家の人だ。」かつて、このように最大級の賛辞を与えられた画家が日本に存在した。

浮世絵の葛飾北斎や東洲斎写楽でもなければ、日本画の橋本雅邦や洋画の黒田清輝でもない。それは、日本の文人画の最後の代表的作家の富岡鉄斎である。文明開化という時代の大波に晒されながらも、89年に及ぶ生涯をひたすら学問と独自の画境の確立に費やした、内に静かに燃える炎を蔵した、まさしく巨木のような画家である。

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富岡鉄斎は1836年に曹洞宗大本山永平寺の御用達をつとめる、「十一屋」という京都の由緒正しい法衣商のもとに次男として生まれたが、子供の頃から贅沢とは無縁の生活を余儀なくされた。鉄斎の父である七代目十一屋伝兵衛が、「青表紙」と綽名されるほどの勉強家、 読書家、慈善家であり、商売にはあまり身を入れなかったために、家業は坂を転がる石ころのように、零落への道をまっしぐらに辿っていたからである。

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