Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

ペーパーボーイ 真夏の引力

去年の第65回カンヌ国際映画際コンペティション部門で初めて披露された1本の映画が、大きな衝撃と話題を呼んだ。リー・ダニエルズ監督の「ペーパーボーイ 真夏の引力」である。

悲惨な家庭環境のもとで虐待を受けて育った黒人の少女が、希望へと踏み出す道のりを描いた前作「プレシャス」で、アカデミー賞2部門を受賞した気鋭監督の待望の新作には、ザック・エフロンニコール・キッドマンマシュー・マコノヒージョン・キューザックというハリウッドが誇る人気と実力を兼ね備えたスターたちが顔を揃えた。当然、今回の作品にも誰もが前作のような、社会派ながらも「希望」を垣間見せる作風を期待したに違いない。しかし、その期待は見事に裏切られた。

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「ペーパーボーイ」が映し出した世界は、1969年のフロリダ州モート郡の沼地のもたらす高温多湿の空気に包まれた茹だるような夏を舞台に、愛に飢えた孤独な青年が人間の情念の奥に飲み込まれていく姿が描かれ、ねっとりとした生臭い話が展開される上質なミステリー。

青年と新聞記者の兄、服役中の殺人犯、彼を冤罪だと信じる婚約者…。ある殺人事件の真実をめぐって、運命のいたずらに翻弄される女と男たちの「業」を浮き彫りにする恐るべき問題作。そして、エフロン、キッドマン、マコノヒー、キューザックらが晒したのは、タブーに挑んだ衝撃の演技。才能溢れるダニエルズ監督作だからこそ実現したこの顔ぶれの演技合戦に、「あのハリウッドスターがここまでやるのか…」と驚愕すること間違いない。

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