Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

藁の楯

三池崇史は多彩な監督だ。現在は日本映画大学である横浜放送映画専門学院出身の三池の師である今村昌平は、同校の創設者であり、カンヌ映画祭パルムドールを2度受賞している映画監督。

自分にできることを自分らしくやればいいんじゃないか…と、今村に教えられ、何かを真似たり、自分にないものを求めたりするのではなく、自分にあるものを見つめて撮っていくということを学んだ。映画は「自分は違うんだ」ということを表現するための道具ではなく、自然に表現していけば、そこに自然と違いがでてくる。それが個性であり、自分の個性なんてことはあまり意識しないでやるべきだという今村の教えを守っている三池。

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三池はどんなジャンルの映画でも撮れるし、どんなジャンルの映画を撮っても三池の個性ははっきり出る。ヤクザ映画、ホラー、ヒーローもの、ミュージカル、時代劇、西部劇、学園もの…。ある意味一貫性がないようだが、どんな映画にも三池の刻印が刻まれている。つまり、三池はいつも自然体なのだろう。

現在公開中の「藁の楯」は、先日カンヌのコンペティション部門で上映され、中には辛辣なメディアの酷評もあったが、観客の反応は上々で、上映後には5分間のスタンディングオベーションも起こった。三池の刻印が観客に伝わったことの証明だ。カルト映画作家として欧州でも脚光を浴びた三池だが、近年は「十三人の刺客」が2010年のベネチア、「一命」が11年のカンヌと、3大映画祭のコンペへの出品が続いている。

コンペ向きの作品とは思えなかった「藁の楯」が選ばれたことについて、三池は「正直、意外だった」と告白する。しかし、映画は完成した以上、見る人によって発見されるものであり、賛否両論巻き起こればいいと腹をくくっている。パルムドールの受賞結果は日本時間の27日未明に発表されるが、すでに20か国以上の配給オファーがあるという。興行的には成功した作品であることは間違いない。

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