Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

バカラのホテル

ニューヨーク近代美術館の真向かいの五番街53丁目に鮮やかなビルが誕生する。「バカラホテル&レジデンス・ニューヨーク(Baccarat Hotel & Residences New York)」だ。クリスタルで有名な老舗メゾン「Baccarat(バカラ)」の世界観がインスピレーションとなったビルは、地上50階建て、玄関口のシャンデリアなど随所にバカラを象徴するモチーフが取り入れられた通称「グラスタワー」。

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もともと国王ルイ15世の命令で創業したバカラは、1764以来、フランス王室はもちろん、イギリス王室・ロシア皇室などのヨーロッパの王室はもちろん、モロッコ王室・タイ王室、さらに日本の皇室までも、バカラを注文している。また、ココ・シャネルら輝かしい常連客の要求に応え、卓越した職人技、革新、魅力的なデザインで名高いことは言うまでもない。

ちなみに、製造された商品のうち消費者の手に渡るのは6~7割。残りは品質基準の高さゆえに破棄されてしまうという。フランスの「M.O.F(「最優秀職人」」を50人以上輩出していることでも有名。

1855年の第1回万国博覧会でグランプリを受賞しており、1964年には創立200年を記念した展覧会がルーブルで開催された。また、2003年にはパリの合衆国広場付近に、バカラのギャラリー・ミュージアム、ブティック、レストランの複合施設である「メゾン・バカラ」が開館。子爵夫人の私邸を改装して誕生した「メゾン・バカラ」は、157灯燈の巨大シャンデリアや13.5メートルのガラステーブルをはじめ、バカラの作品が多数並び、バカラの歴史が表されている。なお、レストランではグラスにバカラのアルクールが使用されている。

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バカラは今もなおフランスのアルザスロレーヌ地方にある風光明媚な町のバカラで経営・製造している。そこでは最高のクリスタル製品だけがバカラの名をつけることが許される。そして、「バカラホテル&レジデンス・ニューヨーク」でも同じく、あらゆる面で完璧性を具現する。

「スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル」の建築家たちがデザインしたマンハッタン有数の高級街にそびえ立つ「グラスタワー」は、特別サービスを伴う壮麗なデザインと、由緒あるフランスのクリスタル企業の250年近い伝統の豊かさを反映する快適性とを結び付けている。マンハッタン中心部のランドマークになることは間違いない。

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ルイス・スキッドモア、ネイサン・オーウィングズ、ジョン・メリルの3人の創業者によって1936年にシカゴで結成された「スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル(Skidmore, Owings & Merrill:略称 SOM)」はアメリカ最大級の建築設計事務所であり、大きな商業建築を主に手がけている。特に超高層ビルに佳作が多く、鉄とガラスからなる箱状の「インターナショナル・スタイル」と呼ばれるモダニズム建築様式を世界中に広めることに貢献した。

ちなみに、六本木の防衛庁旧庁舎跡地に完成した東京ミッドタウンや、「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロコトル」でお馴染みのドバイのブルジュ・ハリファなどを手掛けた建築設計事務所である。

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タワーにはスイート26室を含む客室114室のバカラのグローバル旗艦ホテルと、フルフロアの4戸から、1寝室~4寝室、また、野外テラス付き5寝室の2世帯ペントハウスが含まれる61戸の邸宅が入居する。古くからのバカラ心酔者でもあるマンハッタンでも著名なインテリアデザイナーが、ビル内の邸宅インテリアデザインを監修し、バカラの世界観をインテリアに落とし込み、気品高い空間に仕上げている。

もちろん、入居者には専用のエントランスがあり、クリスタルをあしらった特注ブロンズ製品、洗練された現代的な備え付け家具、また、自然外光をとり入れて各スペースの輝くような明るさを反射する床から天井までの窓などが特徴的。そして、当然の如く、バカラのシャンデリアが各戸の玄関に備え付けられている。主寝室のバスは支柱のない深目の浴槽で、ガラスで仕切られたシャワーブースが付属。高級白大理石の床や壁、化粧台などで広々と仕上がっている。

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バカラの完璧性へのこだわりは、最高のブランド、テクノロジーだけがあらゆる場所に取り入れられており、キッチンには「ミール(Miele)」と「サブゼロ(Sub-Zero)」、「LG」の洗濯・乾燥機、「カリスタ(Kallista)」の洗面台を使用。それぞれの邸宅はまた、照明、オーディオビジュアル、冷暖房、ロールスクリーンを調整する全面自動の「クレストン(Crestron)」コントロールシステムを装備している。

邸宅オーナーは、個人向けコンシェルジュ、ハウスキーピングサービス、24時間インレジデンス・ダイニング、素晴らしいデザインのスパ、屋内プール、フィットネス施設を含む高級ホテルのアメニティとサービスすべてをマンハッタンの中心に住みながら享受することができ、まさに夢のようなライフスタイルが可能となる。

このライフスタイルを手に入れるには、350万ドルから6000万ドルが必要となるが、約93~687平方メートルの専有面積があり、買い手がユニットを結合するオプションもあるという。

なお、「バカラホテル&レジデンス・ニューヨーク」は、バカラの創業250周年にあたる2014年にオープンする予定。今回のジャンボ宝くじが当たったら、小さいタイプの邸宅が購入できるかも知れない。