Touch the Heartstrings

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衣装とアカデミー賞

未だ興奮の余韻が残る第85回アカデミー賞授賞式。今回、1人の日本人がノミネートされており注目されていた。「白雪姫と鏡の女王」で衣装デザイン賞候補に挙がっていた石岡瑛子さんだ。

グラフィックデザイナー、アートディレクターとして活動した後に独立し、パルコや角川書店などの広告で1970年代の日本で活躍。1980年代からは活動拠点をニューヨークに移し、メディアに限定されない分野で国際的に活動。ハリウッド映画やブロードウェイの舞台、北京オリンピック開会式では衣装デザインを手掛けるなど、幅広いフィールドで活躍してきた日本屈指のデザイナーだ。しかし、石岡さんは去年の1月に膵臓癌のため73歳で惜しまれながらこの世を去った。

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彼女の主な受賞歴は、日本未公開だが、1985年の映画「MISHIMA」でカンヌ映画祭芸術貢献賞、また、1987年には、マイルス・デイヴィスのアルバム「TUTU」のジャケットデザインでグラミー賞を受賞している。そして、1993年にはゲイリー・オールドマン演じるドラキュラ伯爵とウィノナ・ライダー演じるミナのロマンスを中心とした、これまでのドラキュラ作品とは一味違った内容の映画「Bram Stoker's Dracula(ドラキュラ)」で、第65回アカデミー賞衣裳デザイン賞を受賞。今回は20年ぶり2度目の受賞なるかと期待がかかっていた。

世界的に有名なグリム童話「白雪姫」を「インモータルズ 神々の戦い」のターセム・シン監督がユーモアたっぷりに描いたファンタジー「白雪姫と鏡の女王」で、石岡さんが手掛けたのは、ジュリア・ロバーツらメインキャストからエキストラ用の衣装まで計300着以上のデザイン。今回の作品が石岡さんの遺作となった。

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残念ながら石岡さんのオスカー受賞は叶わなかったが、今回、衣装デザイン賞を獲得したのは、「アンナ・カレーニナ」の衣裳デザインを手掛けたジャクリーン・デュラン。彼女はイギリス出身の衣裳デザイナーで、主にマイク・リージョー・ライトといったイギリス人監督の作品で衣裳を担当しており、2002年に公開されたマイク・リー監督作「人生は、時々晴れ」の衣裳デザイナーでデビューした。

なお、ジャクリーン・デュランは、「アイズ・ワイド・シャット」「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」「トゥームレイダー」「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」といった作品にもスタッフとして参加している。

これまでジョー・ライト監督が手がけた「プライドと偏見」や「つぐない」で、アカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされており、今回3度目のノミネートで念願の初受賞となった。

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ロシアの文豪トルストイの最高傑作を映画化した「アンナ・カレーニナ」は、本年度、映画界の36の賞でノミネートされ、アカデミー賞をはじめとした全11の賞を受賞している話題作。「恋におちたシェイクスピア」でアカデミー賞を受賞したトム・ストッパードが脚本、「つぐない」や「プライドと偏見」でジョー・ライト監督とタッグを組んだキーラ・ナイトレイが主演を務めている。

衣装と共に話題になったのが、キーラ・ナイトレイが着用したダイヤモンドジュエリー。これは「CHANEL」が彼女のために特別に貸し出されたものだ。キーラ・ナイトレイは、2009年にジョー・ライト監督が製作した「CHANEL」のフレグランス「COCO MADEMOISELLE」のCFムービーにも出演。また、2011年に公開されたジョー・ライト監督による2作目のCFムービーでは、カール・ラガーフェルドがデザインを手がけた衣装に身を包み、現代の「Coco Chanel」を演じている。

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アンナ・カレーニナ」は、日本では3月29日から公開が予定されている。劇中での華やかな衣装は見応えがありそうだ。

余談ながら、「レ・ミゼラブル」で助演女優賞にノミネートされていたアン・ハサウェイが、初のオスカーを獲得した。「レイチェルの結婚」で主演女優賞の候補になって以来、4年ぶり2度目となるノミネートで、今年の同部門にはサリー・フィールドヘレン・ハントといったオスカー女優が候補になっていたが、それらを押しのけての初受賞はお見事。

ファンテーヌを演じたアンは、トレードマークだったロングヘアをばっさりカット。わが子を守るために娼婦にまで身を落とす悲劇の女性という役に挑み、ショートカットで涙ながらに「夢やぶれて」を歌い上げる熱演を披露。出番は少ないながらも鮮烈な印象を残した。

なお、アンが賞授賞式で着ていたドレスは、当初予定されていたドレスではなかったという。当初、メディアにアナウンスされていたのは、「ヴァレンチノ」がアンにドレスを提供したという情報だった。しかし、レッドカーペットにはパールピンクの「プラダ」のドレスを着たアンの姿があり、メディアは驚いた。

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レ・ミゼラブル」の共演者アマンダ・セイフライドが、用意されたヴァレンチノのドレスによく似たドレスを着ると知り、土壇場になってドレスを変更することになったという。

その後、「ヴァレンチノ氏と彼のブランドとの長年の関係に敬意を表するためにもヴァレンチノのドレスを着るのを楽しみにしていただけに、非常に難しい決断でした。失望させてしまったことを心から申し訳なく思っています。」と、アンはメディアにコメントし、ヴァレンチノ氏に謝罪。ちなみに、80歳のヴァレンチノ・ガラヴァーニ氏は、アン・ハサウェイの長年の友人で、昨年9月に結婚した彼女のウェディングドレスもデザインしている。

以前、「プラダを着た悪魔」で主演したアン・ハサウェイだから、「プラダ」のドレスを着たところで違和感はない。ただ、多くのファッションメディアは、オスカーの行方より会場に登場するスターのファッションに注目するだけに、このようなちょっとしたことも大きな話題になってしまう。

誰がどこのドレスを着ていた…なんてことが庶民には話のネタになり盛り上がる。ファッション企業からすれば、誰に自社ブランドのドレスを着てもらうかってことが大切であり、アカデミー賞授賞式会場はファッション企業の広告活動の場であることは間違いなさそうだ。

※動画はこちらでご覧いただけます。

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