Touch the Heartstrings

心の琴線に触れる森羅万象を日々書き綴る「Touch the Heartstrings」

第85回アカデミー賞

20世紀初頭のハリウッドを舞台としたモノクロのサイレント映画「アーティスト」が作品賞、監督賞、主演男優賞を受賞し、また、メリル・ストリープが「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」で29年ぶりとなる主演女優賞を受賞したことも話題となった昨年のアカデミー授賞式。

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1年なんてアッと言う間に過ぎていく。今年もまた映画界最大の祭典「第85回アカデミー賞」の授賞式が行われた。今年は主要6部門の受賞作がバラバラで、これは第78回以来7年ぶりのこと。各メディアは「大波乱のオスカー」と報じた。

前回まで6回連続で監督賞と作品賞のダブル受賞が続いており、今回は「全米監督協会賞(DGA)」を受賞したベン・アフレックの「アルゴ」と、キャサリン・ビグロー監督の「ゼロ・ダーク・サーティ」が本命とみられていたが、両者が監督賞のノミネートから外れたことに波乱の予兆があった。彼らのノミネートからの落選は、保守的で有名なアカデミー賞会員の思惑が波乱の原因だと分析する評論家も存在した。

「ゼロ・ダーク・サーティ」には、アメリカの法律で認められていない拷問が行われたように描かれており、その点で政府関係者から強い抗議の声が出るなど、批判が集中したことが監督賞ノミネート落選の主因と目されている。

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また、ベン・アフレックは、1997年の「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」で脚本賞を受賞し、鮮烈なハリウッドデビューを飾ったが、その後は歌手のジェニファー・ロペスとの派手な恋愛がメディアを賑わせた揚げ句、共演した映画「ジーリ」が不発に終わる。2004年には約2年間交際したロペスと婚約解消とスキャンダラスなイメージがつき、ハリウッドで仕事を失った時期もあり、その過去から敬遠されたとみるメディアも多い。

しかし、ベン・アフレックが監督した「アルゴ」は強かった。見事、作品賞の栄誉に輝き、脚色賞、編集賞も獲得した。監督賞にノミネートされていない作品が作品賞を受賞するのは、第62回アカデミー賞で「ドライビング Miss デイジー」が受賞して以来、実に23年ぶりの快挙となる。

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「アルゴ」は、1979年に実際に起きたイランでの米国大使館人質事件をもとにしたリアルタイム・サスペンス作品。CIAが18年間、最高機密情報として明かさなかった伝説の「ウソの映画ロケハン」なる奇想天外な人質救出作戦を描いた衝撃作。ベン・アフレックにとって、監督は3作目。批評家から大絶賛されたこの作品は興行的にも全米で興収1億ドルの大ヒットを記録。なお、ゴールデン・グローブ賞では作品賞、監督賞を受賞していた。

そして、史上初、ホワイトハウスから中継が行われ、ミシェル・オバマ大統領夫人が作品賞のプレゼンターを務めたことが大きな話題になった。

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ちなみに、監督賞は、ベストセラーとなったファンタジー冒険小説「パイの物語」を映画化した「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」のアン・リー監督が、最も好敵手とみなされていた「リンカーン」のスティーブン・スピルバーグ監督を抑えて受賞。

主演男優賞は、「リンカーン」でエイブラハム・リンカーン大統領を演じ、主演男優賞の最有力候補に挙げられていたダニエル・デイ=ルイス。1989年の「マイ・レフトフット」、2007年の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」に続く3度目のオスカーを受賞した。

また、主演女優賞では、「愛、アムール」で主演した1927年生まれのエマニュエル・リヴァと、「ハッシュパピー バスタブ島の少女」で、4,000人以上もの候補者の中から主人公ハッシュパピー役に選ばれたラッキーガール2003年生まれのクヮヴェンジャネ・ウォレスとの、歳の差76歳の両女優の一騎打ちが話題になった。

しかし、オスカーは「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンス。これは、例えは悪いが、先の「R-1グランプリ」で、スギちゃんとキンタローの対決を目一杯煽ったが、蓋を開けてみれば「マイルド・フラッシュ」の三浦マイルドが優勝を掻っ攫ったという感覚に近いかも。

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ジェニファー・ローレンスは、幼い頃から女優を志し、14歳で芸能活動を開始。「あの日、欲望の大地で」で第65回ベネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)」を受賞し、その後、主演作「ウィンターズ・ボーン」の演技が高い評価を得て、第83回アカデミー賞では初の主演女優賞ノミネートされた。ヒロインを体当たりで演じた「ハンガー・ゲーム」は全米で大ヒットを記録し、名実共にトップスターとなった。

そして、「世界にひとつのプレイブック」で事故で夫を亡くして心に傷を抱えた女性ティファニーを熱演したジェニファー・ローレンスに幸運の女神が微笑み、見事主演女優賞の栄誉を勝ち得た。

そして、今、最も旬な若手女優として注目を浴びるジェニファー・ローレンスを起用した「Dior(ディオール)」の「Miss Dior(ミス ディオール)」バッグコレクションの新ヴィジュアルが公開された。

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ジェニファー・ローレンスが広告塔を務める「Miss Dior」の新キャンペーンでは、ベルギー人フォトグラファーのウィリー・ヴァンデルペールが撮影を担当。スタイリングはオリヴィエ・リッツオ、ヘアはアンソニー・ターナー、メイクはアーロン ド メイが手がけている。ヴィジュアルでは、アーティスティック・ディレクターに就任したラフ・シモンズによる初のプレタポルテ・コレクションを着用したジェニファー・ローレンスが、ローズやブルー、イエローの「Miss Dior」を手にした姿などが収められている。

ちなみに、キャンペーン広告は3月から全世界で展開予定。先見の明ある「Dior」恐るべし。